アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜
「そりゃ、全然違うな」
と言ったあとで、遥人は、珍しく、慰めようとしてくれたのか、

「大丈夫だ。
 お前もなにかの動物に似ている」
とよくわからないフォローを入れてくる。

 なにかってなんですか……。

 適当だなあ、と思いながらも、
「なんですか」
と訊いてみたが、案の定、ちゃんと考えて発言したわけではなかったらしく、遥人は少し悩んだあとで、

「……カピバラ?」
と言ってきた。

 ああ、あのぼーっとした。
 なにも考えてなさそうに、動物園の打たせ湯とかで、目を閉じて打たれてる、あれ。

「もしくは、マシュマロ」

「……既に、生き物ですら、ないですね」

「黄色いニコちゃんマークの缶バッジとか」

「どんどん生き物からも、美人からも離れてってますよねっ!?」

 もうフォローはいいですっ、と叫ぶと、遥人は笑い出す。

「嫌だなあ、美形の人って、どうして、こう、上から見下すように笑うんだろう。

 見下すっていうか、余裕の微笑み?」
と呟いてみたが、無視された。

「しかし、あれだな」
と遥人は話題を切り替えるように言う。
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