強引同期が甘く豹変しました



「ちょっと待てよ、怒んなって」


後ろからいきなり腕を掴まれ、思わず足が止められた。


「別に怒ってないけど」


言いながら振り返ると、矢沢は私をジーッと見下ろして口を開いた。


「じゃあちょっとついてこい」


そしてそう言うと、何故かそのまま歩きだしていく。



「ちょ、ちょっとどこ連れてく気⁉︎」


そう聞いてみても、応答はナシ。


「ねぇ、聞いてる?矢沢」


名前を呼んでも、応答ナシ。



一体どこに行く気なの?私ヒマなわけじゃないんだけど。

そう思いながらも仕方なく後をついて行った、その時だった。



「わっ」


何かに躓いて、思わず転けそうになった。


「あっ、ぶね…」


だけど瞬間的に、前を歩いていた矢沢が振り返り、ぐっと腕を引き寄せてくれたおかげで?なんとか転けずに済んだ。



「…ありがと」


「…おぅ」


転けそうになったおかげで、歩いていた矢沢の足も止まり、ふと目と目が合った。


相変わらず、顔だけはいい。

本当、‘‘顔だけは’’いいんだけどな…なんて思ったけれど。

そんなセリフ、口が裂けても絶対口には出さない。


言えばきっと、矢沢を調子に乗らせるだけだから。

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