強引同期が甘く豹変しました



「入社式の日だって、会社に入って早々にエントランスで派手に転けただろ?ちなみにあそこも完全平面だったけどな」


矢沢に言われて、苦い記憶が蘇る。

あれは、忘れもしない…入社式の日。

緊張しながら会社のビルに入った私は、エントランスを歩いていた時、何故か何もないところで転けそうになって…焦ってそばにいた人の腕に掴まってしまうと、その人を巻き込んで二人同時に派手に転んでしまった。


「まぁでも、アレだろ?あの時がきっかけで入社してすぐから中澤と仲良くなってたじゃん」

「…まぁ、そうかもね」



中澤というのは紀子のことで。


同期入社の彼女とは、その時をきっかけに入社当時から仲良くなった。


二人して派手に転んでしまったせいで、履いていたパンストに伝線が入ったまま入社式に出たけれど。


「そんな破れたパンスト履いて入社式出るヤツら初めてだぞ」なんて、笑われて。

だけどそのおかげか、私たちは先輩たちにもすぐに名前を覚えてもらったし、他の同期たちよりもいじられることがあった分、比較的早くから社内にも馴染めたような気がする。


今となっては、災い転じて吉となったのかな、なんてふうにも思えるけど。


出来ることなら思い出したくはないただの失敗談に過ぎない。


< 23 / 202 >

この作品をシェア

pagetop