強引同期が甘く豹変しました
「ばっ、バカ!なに言ってんの⁉︎何年前の話⁉︎っていうか、あれはキスとかじゃないでしょ⁉︎」
口から吹き出てしまった水をおしぼりで拭きながら、私は慌てて口を開いた。
すると矢沢はテーブルに肩肘をつきながら言う。
「じゃあ何?」
「は?」
「どう考えてもキスだろ、あれは」
「どう考えてもキス?バカじゃないの⁉︎」
「うーわ、ひどっ!一方的にしてきたくせに、そんな相手にバカなんて…」
「だっ、だからふざけないでってば!」
焦ってそう言った直後。
声のボリュームが大きすぎたせいか、ふと視線を感じた私はチラッと視線を動かした。
すると、やっぱり私たちの座っている席は周囲からの視線を集めてしまっていて。
「…すっごい見られてるんだけど」
「おまえが大声出すからだろ?」
いや、そうじゃないでしょ。
「矢沢が変なこと言い出だすからじゃん…」
「変なこと?言ったっけ?」
悪びれる素振りもない矢沢は、落ち着いた表情を浮かべながら水を飲む。
その余裕綽々な態度がはなについた私は、ため息をついて矢沢に言った。
「あのさ…あれはキスじゃなくて事故だから」