強引同期が甘く豹変しました
「事故?人の唇いきなり奪っておいて?」
矢沢はそう言うと、自分の唇に指先を当ててニヤリと笑う。
「へっ、変な言いがかりつけないでよ。矢沢の唇奪ったつもりなんてないし…あれは……だから…事故っていうか…」
言いながら、尻すぼみに声が小さくなってしまったのは、事故を起こした加害者が私の方で、矢沢が被害者だったからなのかもしれない。
「ハハッ、ちょっとからかっただけじゃん。でもまぁ、昔も今もドジなとこは変わってねーんだなってさっき確信したけどな」
意地悪そうな笑みを浮かべる矢沢に、なんだか呆れて言葉も出なかったけど。
何故か私は、そんな矢沢を見ていると…不覚にも思い出してしまっていた。
……目の前にいる矢沢と、唇が重なったあの夜のことを。