強引同期が甘く豹変しました
だから正直ぶっちゃけると…私も少しだけ、気になる存在ではあった。
毎日気さくに話しかけてくれるから誰よりもすぐに名前を覚えられたし、見た目も…その、かっこよかったし。
でもそんな矢沢亮太にも、一つだけ問題点があった。
それを一言で表すとしたら、‘‘モテ過ぎ’’とか競争率が高い’’とか。そういう表現がぴったりで。
顔良し性格良しと、モテる要素を兼ね備えているせいか、矢沢はとにかく女ウケが良く、入社当時から社内の人気者に登りつめていた。
先輩たちにも可愛がられていた矢沢は、笑わない、常に無表情で怖い、と有名だった当時の総務部のお局、剛力さんの顔にも笑顔を浮かべさせるようなやり手男で。
ライバルがとにかく多そうだと悟った私は、自分の中で矢沢を恋愛対象からさっさと外してしまった。
いいな、とは思っても…モテ男に恋するなんて競争率が高過ぎて大変なだけだろう。
負け戦には参戦しない。すぐにそう思った。
それなのに…私の心情など知る由もない矢沢はいつも優しく接してきた。
「頑張ってんじゃん」なんて言いながら、トンッと肩に触れてきたり。
「お疲れ」って、コーヒーを買ってきてくれたり。
みんなも優しかったけど、同期の中でも特に。
矢沢はいつも優しかった。
だから、もしも森さんのことがなかったとしたら。
ひょっとしたらひょっとして、私も…矢沢のことを好きになっていたのかもしれないな、なんて。
そんなことを、何故か今さらながら思い出した。