強引同期が甘く豹変しました


25階建のビルの、20階から最上階までが私たちが勤めているB.Cシステムセキュリティの本社オフィスだ。

部署のフロアは、各階で分けられている。
ちなみに、矢沢は営業部で私は総務部。

お互い部署は違うけれど、営業部と総務部は同じ24階のフロアにあって、オフィスもお隣同士。

それも擦りガラスの壁で区切られているだけで、その壁の中央には行き来が出来るドアがあるから違う部署ではあるけれど実際はほとんど同じ空間で仕事をしている感じだ。

階下の20階から23階は、ワンフロア全てがシステムサービス事業部という部署で、そこでは銀行、保険、ITなどのシステムセキュリティを管理していて、社員の人数も社内の部署の中では1番多い。

それから最上階の25階には、経営管理部と役員室、社長室が入っている。


「ふぁ〜っ」


先に待っていた人たちと共に開いたエレベーターへぞろぞろ乗り込むと、隣に立つ矢沢が大きなあくびをした。


「まだ眠いの?」

「ん?まぁ、あんまり寝れなかったからな」


眠そうに目を擦る矢沢を見上げ、私は「そっか」と小さく返事をした。


「ま、おまえは爆睡だったけどな 」

「ちょっ…」


エレベーターの中は、なかなか混み合っている。


「俺が起こさなかったらまだ寝てただろ」

「矢沢…ちょっと黙ってて」


周囲からの視線を感じた私は足元を見つめながらそう言った。


「なんで」

「なんでって…いいから」


大げさに口をチャックするような仕草を見せると、矢沢はキョトンとした顔をしながらも、ひとまずおとなしくなった。


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