強引同期が甘く豹変しました
それから階が上がるにつれ、だんだん人も降りていき。
「っていうか」
やっといつもの調子で口を開けたのは、エレベーターが20階を過ぎた時だった。
「なに」
「や、なに、じゃないでしょ」
「は?なに怒ってんだよ」
「別に怒ってないけど」
「怒ってんじゃん、完全」
矢沢は、さっきと変わらずキョトンとした表情を浮かべる。
その顔を見上げて、私はため息をついた。
「爆睡してたとか俺が起こさなかったら、とか」
「うん」
「そんな話してたら、聞いた人は私たちが朝まで一緒にいたって勘違いするでしょ?」
「勘違い?つーか、一緒にいて、何か問題あるわけ?」
「問題っていうか…事情を知らない人は、私たちのこと誤解するじゃん。さっきみたいな会話すると」
「誤解…ね。そういうことか」
矢沢はようやく理解してくれたのか、小さく頷いた。