御曹司と愛され蜜月ライフ
身を乗り出した彼女が、なぜか満面の笑みで私の手を取る。
「卯月さん、ありがとうございます。あなたが私をここに連れて来てくれたおかげで、こうして律さんとお話することができました」
「えっ、あの、いえ……私は全然、何も」
しどろもどろに答えても、絢巳さんは小さく首を横に振るだけだ。
「いいえ。……うちの父が言っていたんです。律さんはとても仕事熱心な人だから、きっとこのお見合いの件は最終的に了承するはずだって。でも……私はこうして、あっさりフラれました」
そこでさらに強く私の手を握り、彼女が笑みを深めた。
「もちろん、それだけが理由とは思いませんが──あなたという恋人がいるから、律さんは私とのお見合いを強く拒んだのでしょう? それなら、私はあなたに感謝するべきだわ」
「なっ、」
綺麗なその微笑みは思わず見とれてしまいそうなほどのものだったけれど、のん気にそれを拝んでいられなくなるセリフがセットだったから絶句する。
は? 恋人?? ……誰が、誰の??!
「ちちち違います……! 課長と私は、そんな関係じゃありません!!」
「あら? そうなんですか?」
全力で否定する私の言葉に小首をかしげ、絢巳さんは近衛課長へと視線を向ける。
訊ねられた本人は、小さく苦笑して肩をすくめていた。
「まあ、そうですね。恋人ではないです」
「へぇ……?」
「偶然同じアパートの隣り同士には住んでいますが、私たちはただの上司と部下ですので!」
ダメ押しのように、私は力強く釈明する。
コノエ化成の御曹司である課長と単なる一社員でしかない私じゃ、どう考えても不釣り合いだ。
私は、それを自分でもわかってる。わかってるこそ、こんな誤解はすぐに解かなければいけないのだ。
……心の隅っこに潜むモヤモヤは、気付かないフリをして。
「卯月さん、ありがとうございます。あなたが私をここに連れて来てくれたおかげで、こうして律さんとお話することができました」
「えっ、あの、いえ……私は全然、何も」
しどろもどろに答えても、絢巳さんは小さく首を横に振るだけだ。
「いいえ。……うちの父が言っていたんです。律さんはとても仕事熱心な人だから、きっとこのお見合いの件は最終的に了承するはずだって。でも……私はこうして、あっさりフラれました」
そこでさらに強く私の手を握り、彼女が笑みを深めた。
「もちろん、それだけが理由とは思いませんが──あなたという恋人がいるから、律さんは私とのお見合いを強く拒んだのでしょう? それなら、私はあなたに感謝するべきだわ」
「なっ、」
綺麗なその微笑みは思わず見とれてしまいそうなほどのものだったけれど、のん気にそれを拝んでいられなくなるセリフがセットだったから絶句する。
は? 恋人?? ……誰が、誰の??!
「ちちち違います……! 課長と私は、そんな関係じゃありません!!」
「あら? そうなんですか?」
全力で否定する私の言葉に小首をかしげ、絢巳さんは近衛課長へと視線を向ける。
訊ねられた本人は、小さく苦笑して肩をすくめていた。
「まあ、そうですね。恋人ではないです」
「へぇ……?」
「偶然同じアパートの隣り同士には住んでいますが、私たちはただの上司と部下ですので!」
ダメ押しのように、私は力強く釈明する。
コノエ化成の御曹司である課長と単なる一社員でしかない私じゃ、どう考えても不釣り合いだ。
私は、それを自分でもわかってる。わかってるこそ、こんな誤解はすぐに解かなければいけないのだ。
……心の隅っこに潜むモヤモヤは、気付かないフリをして。