御曹司と愛され蜜月ライフ
思考に没頭している間にも、男性と私の距離はどんどん縮まっていく。
すれ違う直前、ふと、顔を上げた彼と目が合った。
ドキリと心臓がはねる。私は反射的に、小さく会釈しながら脇を通り抜けようとして。
「こんに──」
口にしかけた挨拶が途切れる。今自分のほぼ真横にいる男性の、その正体に気付いてしまったから。
思わず足を止め、唖然とその顔を見上げていた。
「は、坊っちゃん……?!」
つぶやいてから、ハッとして口元を手でおさえても時すでに遅し。
目の前の男性──いつもならメガネに隠されているはずのその素顔をあらわにした近衛課長は怪訝そうに眉を寄せ、形のいいくちびるを開いた。
「……きみ、」
「ひっ、失礼しました……!」
とっさにぐりんと顔を背け、なおかつ腕で隠すようにしながら彼の横を通り過ぎる。
そのまま私はいまだかつてない早さで自分の部屋の鍵を開け、ほとんど駆け込むように玄関へと飛び込んだ。
「……ッ」
くすんだ色のドアを背に、ぎゅっと胸元を片手で握りしめる。
服越しでもわかるくらい、私の心臓はどくどくと早鐘を打っていた。
……なっ、なんでここに、近衛課長が……っ!!??
え、隣りに引っ越して来たのってあのひと?! マジで??! 御曹司がなんでこんな安アパートに??!
私服だしメガネかけてなかったから、気付くの遅れたんですけど!! つーか私つい「坊っちゃん」とか口走っちゃったよどうしよう!!!?
すれ違う直前、ふと、顔を上げた彼と目が合った。
ドキリと心臓がはねる。私は反射的に、小さく会釈しながら脇を通り抜けようとして。
「こんに──」
口にしかけた挨拶が途切れる。今自分のほぼ真横にいる男性の、その正体に気付いてしまったから。
思わず足を止め、唖然とその顔を見上げていた。
「は、坊っちゃん……?!」
つぶやいてから、ハッとして口元を手でおさえても時すでに遅し。
目の前の男性──いつもならメガネに隠されているはずのその素顔をあらわにした近衛課長は怪訝そうに眉を寄せ、形のいいくちびるを開いた。
「……きみ、」
「ひっ、失礼しました……!」
とっさにぐりんと顔を背け、なおかつ腕で隠すようにしながら彼の横を通り過ぎる。
そのまま私はいまだかつてない早さで自分の部屋の鍵を開け、ほとんど駆け込むように玄関へと飛び込んだ。
「……ッ」
くすんだ色のドアを背に、ぎゅっと胸元を片手で握りしめる。
服越しでもわかるくらい、私の心臓はどくどくと早鐘を打っていた。
……なっ、なんでここに、近衛課長が……っ!!??
え、隣りに引っ越して来たのってあのひと?! マジで??! 御曹司がなんでこんな安アパートに??!
私服だしメガネかけてなかったから、気付くの遅れたんですけど!! つーか私つい「坊っちゃん」とか口走っちゃったよどうしよう!!!?