御曹司と愛され蜜月ライフ
「ごちそうさま。この部屋で、まさかこんなにちゃんとしたごはんを食べられるとは思わなかった」
食べ始める前と同じく律儀に両手を合わせてから、近衛課長が感慨深げにそう口にした。
お行儀がいいのはもちろんだけど、彼はお箸の使い方もとても綺麗で。
この人、やっぱり厳しく躾られてきたんだろうなあ。そんなことを考えつつ、私は笑みを向ける。
「お粗末さまでした。量があまりなくて申し訳なかったですけど」
「いや、十分だ。ありがとう」
まっすぐに私の目を見ながら、課長は言った。
真摯なその視線が妙に照れくさい。うつむきながらしぼり出した「どういたしまして」のひとことは、不自然に小さくなってしまった。
「あ、えっと、課長は……料理、する方ではないんですか?」
「……するとかしない以前に、できないんだ。料理だけじゃなく家事全般。まったくセンスがないらしい」
沈黙に包まれるのが嫌で何気なく投げかけた問いに、近衛課長は渋い表情を作る。
『家事全般が苦手』。たしかに、この部屋を見ればそのセリフにはうなずける。
破滅的な汚部屋、とまではさすがにいかないけど。ワンルームの片隅には一応洗って乾燥させたと思われる衣服がこんもりと山を作っているし、キッチンカウンターの足下にはパンパンにふくらんだこの地区指定の燃えるゴミの袋が鎮座している。
半透明な緑色の袋の中からは、コンビニ弁当の空き容器ばかりがのぞいていて。
あ、しかも、さっき電子レンジの掃除に使ったと思われる雑巾らしきものもチラ見してる。ちゃんと洗えばまだ何回も使えるのに!
たまご爆発事件はもちろんだけど、知れば知るほど近衛課長の生活能力が危ぶまれて驚きだ。勝手なイメージで、サラッと涼しい顔でなんでも器用にこなす人だと思ってた。
この様子じゃ爆発たまごの片付けも、きっと四苦八苦しながらなんとか終わらせたに違いない。
食べ始める前と同じく律儀に両手を合わせてから、近衛課長が感慨深げにそう口にした。
お行儀がいいのはもちろんだけど、彼はお箸の使い方もとても綺麗で。
この人、やっぱり厳しく躾られてきたんだろうなあ。そんなことを考えつつ、私は笑みを向ける。
「お粗末さまでした。量があまりなくて申し訳なかったですけど」
「いや、十分だ。ありがとう」
まっすぐに私の目を見ながら、課長は言った。
真摯なその視線が妙に照れくさい。うつむきながらしぼり出した「どういたしまして」のひとことは、不自然に小さくなってしまった。
「あ、えっと、課長は……料理、する方ではないんですか?」
「……するとかしない以前に、できないんだ。料理だけじゃなく家事全般。まったくセンスがないらしい」
沈黙に包まれるのが嫌で何気なく投げかけた問いに、近衛課長は渋い表情を作る。
『家事全般が苦手』。たしかに、この部屋を見ればそのセリフにはうなずける。
破滅的な汚部屋、とまではさすがにいかないけど。ワンルームの片隅には一応洗って乾燥させたと思われる衣服がこんもりと山を作っているし、キッチンカウンターの足下にはパンパンにふくらんだこの地区指定の燃えるゴミの袋が鎮座している。
半透明な緑色の袋の中からは、コンビニ弁当の空き容器ばかりがのぞいていて。
あ、しかも、さっき電子レンジの掃除に使ったと思われる雑巾らしきものもチラ見してる。ちゃんと洗えばまだ何回も使えるのに!
たまご爆発事件はもちろんだけど、知れば知るほど近衛課長の生活能力が危ぶまれて驚きだ。勝手なイメージで、サラッと涼しい顔でなんでも器用にこなす人だと思ってた。
この様子じゃ爆発たまごの片付けも、きっと四苦八苦しながらなんとか終わらせたに違いない。