御曹司と愛され蜜月ライフ
「……ふっ、」
小さくもれ聞こえた声に顔を向ける。
その先では課長が、こぶしを口元にあて肩を震わせながら笑いを堪えていた。
……近衛課長って、こんなふうにも笑うんだ。
この人のそんな様子を見たのは初めてで、私は素直に驚く。
「っく、……や、悪い……俺の勝手なイメージで、卯月はもう少し落ち着いた女性だと思っていたから」
「はあ……?」
「予想外にくるくる表情が変わって、おもしろい」
おもしろいて。それ絶対褒め言葉ではないですよね……?
むっとくちびるをとがらせる。するとまた、課長はふはっと笑みをこぼした。
その無邪気な笑顔に、一際大きく胸が高鳴る。
……私の方こそ、勝手に冷たそうなイメージを押し付けてた。
意外と、よく笑う人だなんて。……笑った顔がちょっと幼くてかわいいなんて、知らなかった。
「そういえば、初めて見たときの格好も予想外だった。名前は雅なくせに、意外と私服はユルいんだな」
「う、……わ、悪かったですね、思いっきり名前負けで」
自分が好きでやってることだけど、彼に言われるとなんだかとたんに恥ずかしく思えた。
思わず、ひざに置いた両手をぎゅっと握りしめる。
けれど課長は、私のセリフに首をかしげたのだ。
「いや? 俺は別にきみが名前負けしてるとは思わない」
「へ、」
「受付に座ってるとき、きみはいつも背筋を伸ばして凛としているだろ。まさに『撫子』って雰囲気で、可憐だと思う」
「──ッ、」
てらいもなく淡々と紡がれた彼の言葉で。急激に、頬が熱を持つのを止められなかった。
な、なんでこのひと、こんな恥ずかしいセリフさらっと言えるの?! しかも顔色ひとつ変えずに……!
「っど、どうも、ありがとうございます……」
「いや」
なんでもない様子でこくりとうなずく。……たぶんこのひと、思ったことをほんとにそのまま口にしてるだけなんだ。
つい先日、栗山さんから聞いた話を思い出す。美人な女性社員からの食事の誘いを、『忙しいから』のひとことでバッサリはねのけたって。
きっとそれは、方便でも建前でもなんでもなくて。ただ単純に、そのとき彼が『忙しかった』だけのこと。
……良くも悪くも素直なんだな、このひと。
小さくもれ聞こえた声に顔を向ける。
その先では課長が、こぶしを口元にあて肩を震わせながら笑いを堪えていた。
……近衛課長って、こんなふうにも笑うんだ。
この人のそんな様子を見たのは初めてで、私は素直に驚く。
「っく、……や、悪い……俺の勝手なイメージで、卯月はもう少し落ち着いた女性だと思っていたから」
「はあ……?」
「予想外にくるくる表情が変わって、おもしろい」
おもしろいて。それ絶対褒め言葉ではないですよね……?
むっとくちびるをとがらせる。するとまた、課長はふはっと笑みをこぼした。
その無邪気な笑顔に、一際大きく胸が高鳴る。
……私の方こそ、勝手に冷たそうなイメージを押し付けてた。
意外と、よく笑う人だなんて。……笑った顔がちょっと幼くてかわいいなんて、知らなかった。
「そういえば、初めて見たときの格好も予想外だった。名前は雅なくせに、意外と私服はユルいんだな」
「う、……わ、悪かったですね、思いっきり名前負けで」
自分が好きでやってることだけど、彼に言われるとなんだかとたんに恥ずかしく思えた。
思わず、ひざに置いた両手をぎゅっと握りしめる。
けれど課長は、私のセリフに首をかしげたのだ。
「いや? 俺は別にきみが名前負けしてるとは思わない」
「へ、」
「受付に座ってるとき、きみはいつも背筋を伸ばして凛としているだろ。まさに『撫子』って雰囲気で、可憐だと思う」
「──ッ、」
てらいもなく淡々と紡がれた彼の言葉で。急激に、頬が熱を持つのを止められなかった。
な、なんでこのひと、こんな恥ずかしいセリフさらっと言えるの?! しかも顔色ひとつ変えずに……!
「っど、どうも、ありがとうございます……」
「いや」
なんでもない様子でこくりとうなずく。……たぶんこのひと、思ったことをほんとにそのまま口にしてるだけなんだ。
つい先日、栗山さんから聞いた話を思い出す。美人な女性社員からの食事の誘いを、『忙しいから』のひとことでバッサリはねのけたって。
きっとそれは、方便でも建前でもなんでもなくて。ただ単純に、そのとき彼が『忙しかった』だけのこと。
……良くも悪くも素直なんだな、このひと。