御曹司と愛され蜜月ライフ
家に上がったとき以上に、緊張する。だってワンルームの部屋よりずっと狭くて、課長が近いんだもん。
私がシートベルトを装着したのを確認してから、近衛課長がエンジンをかけた。
ほどなくして車は動き出し、ウィンカーを出して道路へと合流する。
「──さっきの話の続きだけど。今さらもう、考えなくてもいいことじゃないか?」
「え?」
その言葉の意味をはかりかねて、私はつい聞き返した。
まっすぐ前を見据えて黒革のハンドルを操る課長がまた口を開く。
「俺の引っ越しのことをバラしたときは、の話。どうせ卯月は、バラす気なんてないんだろ?」
そう話す彼の口元には笑み。私のことなのにきっぱり断言するから、なんだかむずがゆいような、悔しいような気分になった。
たしかに私は、会社の誰かに近衛課長のことをバラそうなんて全然思っていない。けれどそれをあっさり本人に見抜かれて、なんだか癪だ。
ほとんど負け惜しみに近いその感情のまま、思わず悔しさが表情に出てしまう。
「……わかんないですよ? 明日には、気が変わって社長室を訪ねるかも」
「へぇ、それはこわいな。だがもしそうなったら、こっちだって黙ってないぞ」
そんなことを言いながらも、相変わらずそのくちびるは弧を描いている。
きっと私の強がりなんてハナからお見通しで、単に言葉遊びを楽しんでいるのだ。私だって負けじと言葉を返す。
私がシートベルトを装着したのを確認してから、近衛課長がエンジンをかけた。
ほどなくして車は動き出し、ウィンカーを出して道路へと合流する。
「──さっきの話の続きだけど。今さらもう、考えなくてもいいことじゃないか?」
「え?」
その言葉の意味をはかりかねて、私はつい聞き返した。
まっすぐ前を見据えて黒革のハンドルを操る課長がまた口を開く。
「俺の引っ越しのことをバラしたときは、の話。どうせ卯月は、バラす気なんてないんだろ?」
そう話す彼の口元には笑み。私のことなのにきっぱり断言するから、なんだかむずがゆいような、悔しいような気分になった。
たしかに私は、会社の誰かに近衛課長のことをバラそうなんて全然思っていない。けれどそれをあっさり本人に見抜かれて、なんだか癪だ。
ほとんど負け惜しみに近いその感情のまま、思わず悔しさが表情に出てしまう。
「……わかんないですよ? 明日には、気が変わって社長室を訪ねるかも」
「へぇ、それはこわいな。だがもしそうなったら、こっちだって黙ってないぞ」
そんなことを言いながらも、相変わらずそのくちびるは弧を描いている。
きっと私の強がりなんてハナからお見通しで、単に言葉遊びを楽しんでいるのだ。私だって負けじと言葉を返す。