御曹司と愛され蜜月ライフ
それから数時間後の、とあるショッピングモール内に店舗を構えるドラッグストアにて。



「えっ。課長、洗濯するとき柔軟剤使ってないんですか?!」



私が驚きに目をみはってそう言えば、隣りに並んで立っている近衛課長は逆に驚いたような顔でうなずいた。



「ああ。いつも液体の洗剤だけだ」

「え~……いやまあ、最近の洗剤は柔軟剤入りっていうのもありますけど……課長が使ってるのはそんな感じのやつなんですか?」

「ん? 知らん」

「………」



いっそ清々しいほどの無頓着ぶりに思わずため息。ほんとこのひと、家事に関しては全然こだわりないんだなあ。

この調子じゃ、芳香剤置くにしても玄関用とかトイレ用って種類が分かれてることすら気付いてなさそう。


近衛課長の運転する車でやって来たのは、アパートからそう遠く離れていないところにある大型ショッピングモールだ。

日用品からブランド品まで、ありとあらゆるものが揃う便利な場所。ここで私たちは揃って、ブラブラといくつかのお店を回っていた。

到着する前はもしかしてモール内では別行動するのかも、なんて頭のすみっこで考えたりしてたんだけど、どうやらその考えは的はずれだったらしい。

近衛課長と家で一緒にごはん食べるっていうのも違和感満載だったけど、まさか一緒に買い物まですることになるとは……人生、何があるかわからない。

ちなみにお昼ごはんは、フードコートにあったファーストフード店で済ませた。イメージ通り、近衛課長はあまりああいうジャンクなものを食べたことがないらしく……興味深げにハンバーガーにかじりつくその姿は逆に新鮮で。思わずスマホで写真を撮りたくなってしまった衝動をなんとか我慢したあのときの私、エラい。


そしてこうして並んで買い物をしているだけでも、今までわからなかったその人となりを発見することもあるわけで。

ことごとく生活感のないこの人物の発言に、さっきから私は驚かされてばかりなのだ。
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