御曹司と愛され蜜月ライフ
うーん。絶対いるものってわけじゃないけど、やっぱり柔軟剤は使った方がいいと思うんだけどなあ。

私はとりあえず目の前の棚からひとつの商品を取り出し、そのラベルを課長に見せる。



「これ、柔軟剤です。柔軟剤は洗濯した衣類の手触りをやわらかく仕上げるためのものです」

「おお」

「あとなんだっけな……そう、たしか静電気を防止する効果もあるんですよ!」

「あー、それはこれからの時期特に必要だな」



言いながら私の手から柔軟剤を取り上げ、まじまじとパッケージを眺める近衛課長。

よしよし、必要性がわかってきたみたいだぞ。

気を良くした私はさらにたたみかける。



「最近のは洗うだけで消臭とか抗菌効果が得られるものもあるし、香りの種類もたくさんあるんですよー。ちなみに今課長が持ってるやつは、こんな感じの匂いですね」



棚の前面に置いてあった小さなボトル型の香り見本の蓋を開けて、彼の鼻先へと近づけた。

私の身長に合わせ、課長が軽く屈んでくれる。匂いを確認したらしい彼は、わずかに眉をひそめた。



「……甘ったるいな」

「あー、これは外国のメーカーなんで、ちょっと匂いキツめかもしれないですね。これとかも、CMよくやってて有名ですけど」

「んー?」



すん、と私が差し出したボトルの匂いをかいで、課長は微妙な表情をした。どうやらこれもお気に召さなかったらしい。

まあ柔軟剤の香りって、基本的にまったり甘くて女性向けっぽいしなー。課長がつけてる香水もさわやかな感じだから、勧めるならフローラル系よりグリーン系の方がいいかも。
< 63 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop