御曹司と愛され蜜月ライフ
「でもやっぱり、俺には女っぽすぎるな。だから同じシリーズのこっちにしてみる」
そう言ってあっさり私から視線を外した課長が、迷いなく黄緑色のパッケージの商品を手に取った。
呆然としたまま、そんな近衛課長の横顔を見つめる。それに気付いたらしい彼が、手元の柔軟剤からこちらへと視線を向けた。
「ん? どうした?」
「っか……っや、いいです。なんでも、ありません」
「そうか?」
一度開きかけた口を、思い直して再度閉じる。いっそ白々しいと感じるくらいの平然さで課長は軽く首をかしげると、レジに向かうためか歩き出した。
……な、なに、今の。いくら柔軟剤の匂い確かめたいからって、普通あんなふうに襟元直接かぐか??!
いや、これが家族とか子どもとか恋人同士なら不思議じゃないかもだけどさ……! だけど私たちはそんな関係でもないし、いい歳の男が恋人でもない妙齢女子にすることじゃないし、そもそもこんな公衆の面前でさあ……!!
やっぱり、御曹司ってやつは一般人とは感覚が違うイキモノなんだ……! いやむしろ、この“近衛 律”という人間が特殊なの??!
単純に憤慨しているのか、私としたことが先ほどの接触に照れてしまっているのか。
たぶんその両方の理由で熱くなってしまった頬を、両手で包んでなんとか落ち着かせようとする。
……ああもう、ほんと。
ほんとに、近衛課長って変なヒトだ……!!
もう、自分用の柔軟剤を選ぶなんて気にはなれそうにない。私は深く熱い息を吐いて、それでも自分を動揺させた張本人の背中を、少し離れたところから追いかけたのだった。
そう言ってあっさり私から視線を外した課長が、迷いなく黄緑色のパッケージの商品を手に取った。
呆然としたまま、そんな近衛課長の横顔を見つめる。それに気付いたらしい彼が、手元の柔軟剤からこちらへと視線を向けた。
「ん? どうした?」
「っか……っや、いいです。なんでも、ありません」
「そうか?」
一度開きかけた口を、思い直して再度閉じる。いっそ白々しいと感じるくらいの平然さで課長は軽く首をかしげると、レジに向かうためか歩き出した。
……な、なに、今の。いくら柔軟剤の匂い確かめたいからって、普通あんなふうに襟元直接かぐか??!
いや、これが家族とか子どもとか恋人同士なら不思議じゃないかもだけどさ……! だけど私たちはそんな関係でもないし、いい歳の男が恋人でもない妙齢女子にすることじゃないし、そもそもこんな公衆の面前でさあ……!!
やっぱり、御曹司ってやつは一般人とは感覚が違うイキモノなんだ……! いやむしろ、この“近衛 律”という人間が特殊なの??!
単純に憤慨しているのか、私としたことが先ほどの接触に照れてしまっているのか。
たぶんその両方の理由で熱くなってしまった頬を、両手で包んでなんとか落ち着かせようとする。
……ああもう、ほんと。
ほんとに、近衛課長って変なヒトだ……!!
もう、自分用の柔軟剤を選ぶなんて気にはなれそうにない。私は深く熱い息を吐いて、それでも自分を動揺させた張本人の背中を、少し離れたところから追いかけたのだった。