御曹司と愛され蜜月ライフ
私が苦笑してそう言えば、課長はハッと息を吐くように笑った。

その笑顔があんまり不意打ちだったから、自然と胸が高鳴ってしまう。



「そこはよろこんどけ。きみを見つけたあのときは、俺も肝が冷えたんだ。……何事もなくて、本当によかった」

「ッ、」



やさしい言葉と微笑みに、またじわりと涙が浮かんだ。

……ダメだ。今日の私の涙腺、完全にダメになってる。

だって、ほんとにこわかったんだ。こわくて、でも、課長が来てくれて心の底から安心した。


瞳いっぱい、今にもこぼれ落ちそうなほど涙をためる私を、課長がじっと見つめているのがわかる。

こんなの、自分らしくないよなぁ。ちゃんと自覚してる。ごしごしと目元をこすってから「ありがとうございます」となんとかつぶやき、立ち上がった。



「おかゆ、作って来ますね。一応熱計ってみて、ちゃんとおとなしく寝ててくださいよ?」



わざとらしい明るい声で、そんなことを言って。

私はまるで逃げるように、一度自分の部屋へと戻った。
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