バンテスト魔法書の保持者
酷く心臓が脈打つ。


オシレット先輩がリューラに斬りかかるのが、
スローモーションに見える。


リューラは動かない。


心の中、リューラと心話しようと語りかけるが、反応を示さない。


ドクン、ドクン‥‥‥


心臓が、いつもより激しく鳴っている。


リューラが戦っている。


ダメだ、リューラ‥‥‥‥


のまれるな!


「リューラ!!」


応答しないならば、声を耳に聞こえさせればいい。


気づければ、声をはってリューラの名を呼んでいた。


「!」


リューラがこっちを向いた。


人混みの中、しっかりと俺を見つけて。


「よそ見、禁止!!」


オシレット先輩が剣を振り上げる。


リューラは目を閉じ、動かない。


「!?」 


刹那的、コロシアムにいる全員の身体が強張った。


リューラから澄んだ魔力が、コロシアムの結界内に溢れる。


オシレット先輩は瞬時に後ろに下がった。


オシレット先輩が離れると、リューラは魔法を唱える。


「光の精霊よ、我が呼び声に応えよ。
ここは我の領地、我の望む大地なり。
我が大地を守りし絶対なる光の結界をここに。
〈アデュソロティーホーリーメイデウォール〉
魔法強化〈ホーリーチャージ〉」


半径約2メートルの小さな結界。


質の良い魔力で作られた密度の高い結界は、そうそう壊れない。


「シンルス!」


リューラの声が響き、戦闘していたシンルスがリューラに目を移す。
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