性悪魔王と妄想モンスター(5/19 63P公開)
「ふぅ…分かったならよろしい」
美夜さんは胸の前で腕を組んで表情を少し、ほんの少し穏やかにした。
……て、ワタシが納得するわけないでしょう!!!あれが全部、夢!?んなわけあるか!!!!!!
「ワタシむくろ君とちゅーした!!
本当にあれはちゅーだった!!!!」
ワタシの一言で教室内が一気に笑い声で溢れた。
「んな!?みんなバカにしてるの!?」
「誰もあんたの言うこと信じるわけないでしょ、バカだもの」
ぐぬぬっ…。
「どうせ全部ね、あんたのお花畑の中のお話なんだからこれ以上竜ヶ峰に変なこと言うのやめなよ。本気で嫌われてるからアレ」
「ち、違うし!本当にちゅーしたの!しかもむくろ君のほうから!!だからワタシ嬉しすぎて気を失ったの!これ絶対!あとむくろ君は照れているんだって!」
ワタシは立ち上がり熱弁する。
だって、だって…だって…っ!
ほんっとうに!死んじゃうくらい嬉しかったんだもん!!
あの時、むくろ君は…
泣いて腫れたワタシの目を冷やしてくれて…そして、優しく…唇に…。
「……っぅう」
「イチコ、泣くのはやめなさい」
「泣いてないし!美夜さん信じてよ!」
「ムリよ、あの竜ヶ峰があんたを殴らずに教室を出て行ったってことは本当にあんたに嫌気がさしたのよ。もう恋愛の妄想ごっこは終わり、いい加減にして」
美夜さんも立ち上がり、ワタシを怖い目で見下ろす。