溺愛伯爵さまが離してくれません!
それから奥様との生活はとても楽しく、充実しておりました。
欝々としていた気持ちも、幾分か明るくなってきたように思えます。

それでもまだたまに、ふと思い出す伯爵さまの事。
あの人は今、どうしているだろう。
私がいなくても、楽しく生活しているのでしょうか。

なんて。
こんな形で伯爵さまの元からいなくなって、そんな事を考える資格なんてないわよね。
早く、忘れなければ。

「リーナ、どうしたの?料理が進んでいないようだけど」

「あ、いえ、すみません。少し考え事を・・・」

「・・・伯爵様の事?」

「・・・」

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