溺愛伯爵さまが離してくれません!

訪問者

今日はあいにくの雨。
昼だというのにお屋敷の中は薄暗く、雨が建物を打ち付ける音が響きます。
こんな日は気分が晴れるわけもなく、お屋敷の中で掃除をしながら悶々としておりました。

「雨季に入ったのね。当分雨の日が続くわよ。あーあ、洗濯物が乾かないからこの時期は嫌なのよねぇ」

奥様はだるそうな声で、そう話しました。

私がこのお屋敷に来て、もう早いもので3か月が経とうとしております。
相変わらず私の気持ちはゆらゆらと揺れているだけで、はっきりと決心はついておりません。

時が過ぎていけば、どんどんと後戻りが出来なくなるのは分かっています。
でも、踏ん切りがつかないのです。

今更どんな顔をして会いに行けばいいのか。
きっと伯爵さまは幻滅して、お怒りでしょう。
これ以上嫌われたくはない。ならもうこのまま会わない方がいい。

でも、未だに忘れられずにいる自分がここにいて。
こんな日は特に、気を許すと涙が溢れそうになる。
いつも以上に、ため息が口から零れてしまうのでした。

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