溺愛伯爵さまが離してくれません!
伯爵さまの顔を見れずに俯く私を、強引に顔を引き上げそして近くまで顔を寄せます。
吐息がかかるまでに近い伯爵さまの顔。

その瞳は潤んで、そして情熱的で。
その瞳でじっと私の顔を見つめるのでした。

それに耐えられずに、私は目を逸らしてしまいます。

「ちゃんと僕の顔を見て。僕が嘘を言っていると思うかい?僕はこんなにもリーナを愛しているというのに」

「そんな・・・どうしてです?私なんて何もない女で。伯爵さまの周りにはもっと美しくて教養のあるふさわしい女性がいるというのに」

伯爵さまはそう話す私に、困ったような笑みを浮かべます。

「僕はリーナが初めて屋敷に来た時から、ずっと気持ちは変わっていないんだよ。昔から君の事が好きだった。好きだから、君を僕の侍女にして他の男に取られないように縛りつけているつもりだった。僕がリーナに結婚しようと言えるその日までずっと」

「え・・・?」

「父との約束だったんだ。22歳になるまでリーナに僕の気持ちを明かさない事、当主として他の貴族との繋がりを作る事。君と結婚するために使える手は何でも使って、繋がりを作った。僕が毎夜夜会に参加していたのはその為。決して色んな女性と遊ぶ為だけに参加していた訳じゃない。あくまでも仕事だった。それを勘違いさせてしまったのかもしれないね、ゴメン。でもどうしても言えなくて」

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