溺愛伯爵さまが離してくれません!
"例のご令嬢"とは、僕の侍女、リーナの事だ。
彼女は貴族ではないから、本来ご令嬢と呼ぶのはおかしいのだけれど、この場でリーナの話をする時はお互いそう呼んでいた。
万が一誰かに話を聞かれたとしても、ご令嬢、と言っておけば僕が身分違いのリーナに恋をしている事がバレる心配はない。

今はまだバレてはいけないんだ。
僕が侍女に恋をしているなんて事が周りに知れたら、リーナだけでなくリーナの家族にまで、迷惑を掛けてしまうことになる。
貴族の嫌がらせは陰険だ。
特に僕に好意を寄せている女性たちは、特に。


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