溺愛伯爵さまが離してくれません!
「どうしたんだ?」

ニヤニヤとしていた顔が、心配そうな表情に変わる。
僕は相変わらず揺れるワインを見つめながら話す。

「今日、朝食を一緒に食べたんだ。けれど、あまり食べないうちに逃げるように部屋に篭ってしまってね。疲れているから、と部屋にも入らせてもらえなかった」

「自分なりに距離を詰めようとしたんだな?」

「焦ってはいけないと思っているんだけどね、どうしてもあの見合いの件があってからは・・・」

そう言ってため息を零す。



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