強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
そして父も母を愛していたから、その約束を命をかけて果たそうとしている。
「そういえば……お父さん。お母さんの持っていたこのネックレスって、お父さんが渡したものよね? これに大事なデータが入っているって聞いたんだけど、どういうデータなの?」
ネックレスを指して聞くと、父は目を見開いた。
「どうしてそれを?」
しまった。悠や篠田さんが言ったとは言わない方がいいのかも。
「お母さんが……だから、大事にしろと言い残したの。死ぬ前に」
咄嗟に嘘をつくと、父は納得したようだった。
「時期が来たら話す。それまで持っていてくれ」
って言われても、このネックレスを持っているせいで、私は狙われているのかもしれないのよ。
そう言おうと思ったけど、やっぱり秘密を話した悠の立場が悪くなるといけないので黙っておいた。
「すまない、霧子。お前には申し訳ないと思っている」
父は私に、深く頭を下げる。