I love youを日本語に
「久しぶり」
「うん、久しぶり」
ついこの間、美帆とトシと3人で来たあのオシャレなカフェに再びわたしはいた。
ただ、わたしの向かいに座っているのは美帆でもトシでもない。
「ちょっと大人っぽくなったな、ユウ」
「そんなことないよ。
ナオ…先輩」
ぎこちないわたしを見てナオくんは優しく笑った。
ナオくんの笑顔を見て改めて思う。
どうしてこんな人がわたしなんかを好きになってくれたんだろう。
「好きに呼んだらいいよ」
「じゃあ、ナオくんって呼ぶ」
「うん、どうぞ」
付き合っていた頃は部活中は先輩呼び、ふたりのときはナオくん呼びを徹底していた。
だから別れた後、顔を会わせてもそれは部活中だったから、呼び方で困ることなんてなかったんだ。
まさかこんなことで困る日が来るなんて…
「何食べるか決まった?」
「うーん、迷ってる…」
「これとこれで?」
メニューとにらめっこしていたわたし。
ナオくんはオムライスとカルボナーラを指さす。
「え、なんで?」
「変わってないな」
ナオくんはまた笑う。
わたしはなんだか恥ずかしくて、
そして胸の奥がぎゅっと痛くなった。
この胸の痛みは……なんなんだろう。