I love youを日本語に




「どう?一人暮らしは」


「大学は楽しい?」


「バイトは何してるの?」


わたしは少し戸惑っていた。

こんなふうに他愛もない会話をもう1度ナオくんとできる日がくるなんて思ってもいなかったからだ。


だってわたしは、最低で、ナオくんを傷つけた。

だから、そんな資格ないと思っていた。


「ユウ?どうした?」


また胸が苦しくなる。

付き合っていた頃と同じだ。

わたしが何か悩んでいるとナオくんは絶対に気が付いて


どうした?

と少し首を傾げてわたしの顔を覗き込む。

とても優しい顔でわたしを見るのだ。


その顔に、その瞳にわたしは黙っていられなくて、胸の内を話してしまう。


「苦しい」


「苦しい?」


「ナオくんに優しくされるのが苦しい」


「え?」


自分の語彙力のなさに落ち込む。

何を伝えれば、どう表現すればいいのか言葉を探す。

その間もナオくんはじっと待っていてくれる。


決してトシのようになんだよ、早く言えよ、なんて急かしたりはしない。





< 240 / 274 >

この作品をシェア

pagetop