I love youを日本語に
理由は分かっている。
ユウだ。
もうユウに対する気持ちは消えたものだと思っていた。
いや、違うな。
引っ越したあの日に、16歳の冬に、鍵をかけて閉じ込めたんだ。
もう2度と思い出さないように、厳重に鍵をかけた。
会うことなどないと思っていたから。
その鍵が開くこともないと思っていた。
それなのにどうして。
どうして、ユウが今こんなにも近くにいるんだ。
「……はあ」
自分の家のマンションの前で、
向かいの……ユウが住むマンションを見上げて
また溜め息が出た。
あの時、泣いているあかりを抱き締めた時、
頭の中でもうひとりの俺の声が聞こえた。
『お前が好きなのは本当にあかりか?違うだろ』
そんな、聞こえるはずのない声が、聞こえた。
その声が聞こえたことも、
あかりが泣いたことも、
最近の俺が変だとあかりに感じさせてしまったことも、
全て俺が悪いのだ。
鍵をして封印したはずのものが、
今にも溢れ出そうとしている。
俺は苛立っていた。
他の誰でもなく、俺自身に腹が立って仕方がなかった。
「あれ、トシじゃん」