I love youを日本語に
講義が終わった時よりもずっと重たい足を引きずって、家の扉を開ける。
いつもより重く感じるのは気のせいだろうか。
なんだか部屋の中が息苦しくて、
カーテンを開けて、窓も開ける。
「……ユウ」
真向いのマンション。
ユウの部屋。
電気が灯っていた。
『…………もしもし』
あれほど言うことを聞いてくれなかったのに
今度は勝手に動く指先。
気づくとユウに電話をかけていた。
「………………」
電話をかけたくせに、
何を言えばいいのか分からない。
『何?間違い電話?』
「もし、もし」
間違い電話だと思われて切られるのだけはイヤで、声を絞り出す。
『なんだ、生きてた。
何?今、家?』
心なしかユウの声がいつもより明るい気がする。
たぶん、アイツのことだ。
無理して明るいユウを演じているのだろう。
「うん、家」
ベランダでユウの部屋に灯る明かりをぼーっと眺めながら答える。
『…………あ、ほんとだ』
少しの沈黙の後、声が聞こえたかと思うと
ベランダにユウが現れた。