I love youを日本語に





「ってか、ずっと思ってたんだけど」


頬杖をついてあたしを見る圭祐くんとばっちり目が合う。

逸らすのは不自然な気がして、なんとか目を逸らさないように踏ん張る。



「美帆ちゃんって俺と話すとき、敬語とタメ口混ざるよね」


「あ、ごめんなさい。

年上だからちゃんと敬語で話さなきゃって思うんだけど、

でもたまにタメ口出ちゃうんです」


意識的に敬語で話すようにしてるんだけど、

少し気を抜くとタメ口が出てしまう。


「いや、全然いいんだよ。

むしろ、そのほうが嬉しいかなー」


「え?」


「ほら、なんか敬語ってさ距離感じるじゃん?

だからタメ口で話してくれると、距離縮まってるのかなって思えるからさ」


圭祐くんはそう言ってあたしと視線を外す。

そして、ストローでコーヒーをかき混ぜる。


「いや、ごめん。

やっぱ今のなし。

聞かなかったことにして」


もしかして…


「照れてる?」


あたしの一言で圭祐くんの動きが止まる。

あれ?耳赤いような…


「美帆ちゃん」

動きを止めたままの圭祐くん。


「そういうのは、聞かないで。

…恥ずかしいから」


チラッとあたしを見る。


…可愛い。

口から出そうになったその一言をなんとか飲み込んだ。






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