I love youを日本語に
「ごめんね。
全然関係ない話ばっかりして勉強あんまり進まなかったよね」
いつの間にか辺りは暗くなり、あたしたちはお店を出た。
「ううん、全然大丈夫。」
車が横を通り過ぎていく。
聞こえなくたっていい。
届かなくたっていい。
「…楽しかった」
消え入りそうな声で呟いた。
「ん?」
「ううん、なんでないよ」
いいの。
今は、まだ。
伝わらなくたっていい。
いつかもっと圭祐くんと向き合う時間が増えて、
そのときに伝えられれば、それでいい。
「じゃあ、俺行くね。
友達と待ち合わせしてるんだ」
こういうとき、年の差を感じてしまう。
あたしはまだ高校生で。
今からどこかで遊ぶなんて考えられない。
でも、圭祐くんはもう18歳だから、時間なんて気にせず遊ぶことができてしまう。
「うん、また、バイトで」
少し痛む胸に気付かないフリをしてなんとか声を絞り出す。
「送ってあげられなくてごめんね。
気を付けて帰るんだよ」
その一言だけで、十分。
送ってもらうなんてそんな高望みはしない。
手を振って、背を向け走って行ってしまう圭祐くん。
その背中が見えなくなるまで、見送ろうと決める。
「……っ」