きみが望めば
???

誰もいない。くもり空が広がるだけ。
ここは高い塔の上だし、誰も、、
はてなだらけのあたし。

「どこ見てんノヨー。はなして、離ぁして、鼻を離しテー!」

ごにょごにょ!と掌で何かが動いた。
「きゃぁあ!!」

ばたん!
勢いよく扉が開けられた。
「姫さま、何事ですか!?」
剣を携えた騎士が2人、部屋に飛び込んできた。

「、、ぁ、何かが、、いま、窓辺に」
腰を抜かして絨毯の上にへたりこんでしまった。さっきのは何?
手のひらを見つめた。何かが動いた感触。
思い出して鳥肌が立った。

「窓の外ですか、不審者は見当たりませんが。」
騎士のひとりが窓辺に寄り、外を確認している。
「立てますか?」
もうひとりはそばに来て起きるのを助けてくれていた。
「び、びっくりしたら、腰が抜けちゃったみたい、、」
「それはいけません。」
騎士がソファに運んでくれた。

「何を見られたのですか?」
「んー、、見たのじゃなくて、聞こえたの。誰かの声が。たぶん。」
「声ですか?」
騎士がふたりで顔を見合わせている。
< 114 / 175 >

この作品をシェア

pagetop