◇君に奇跡を世界に雨を◇
いつもの、微睡む猫のような優しい表情。
「あかりちゃんなら、何に使う?」
「私なら? うーん、なんだろう。とりあえず欲しい物を買って、残った分は貯金かなぁ」
「その人は、当たった1000万円で宝くじを買ったんだよ」
「え!? 1000万、全部!?」
目を丸くする私を見てユウは満足気に頷いた。
「そう、全部! 3万3333枚! すごいでしょ。カッコイイ人だなぁって思わない?」
「全然思わない。その人、ただのバカだよ」
呆れた私にユウは
「あかりちゃんにも会わせてあげたかったな。本当にカッコイイ人だったんだよ」
と、少し遠くを見ながら懐かしそうに笑った。