◇君に奇跡を世界に雨を◇

午後の窓辺

 



コツン、コツンと松葉杖をついて昼間の病院内の廊下を歩いていた。
松葉杖にもだいぶ慣れてきた。

4階の南端の廊下。
このフロアは手術室やICUが並んでいて、他のフロアとは違うはりつめた雰囲気に私は少し緊張していた。

なるべく音をたてないように、こっそり前に進むと見えてきた廊下の突き当たり。
付き添いの家族が手術を待つために設けられた落ち着いたスペースに大きな窓があった。



ユウが言ってた場所は、ここ?


誰もいないことに安堵しながらゆっくり窓に近づくと、外には大きな白い建物があった。

「学校だ……」

驚いた。
こんなに近くに学校が見えるなんて。

南側の大きな窓からは私が通う学校がすぐそばに見えた。
そして、グラウンドも。


色々な運動部が練習する賑やかな校庭の一角、校舎に近いトラックで陸上部のみんなが練習しているのが見下ろせた。

短距離や中長距離チームに別れ、決められたトレーニングドリルをこなしていく。


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