きみへの想いを、エールにのせて
あの時と同じ。
『チョコちゃんに、なにがわかるんだ!』と硬く手を握りしめていた時と同じ。
きつく握った拳が震えている。
「お前、痛いのかよ。ここ、痛いのかよ!」
結城君は自分の胸を、強く二度叩いた。
「ずっと、辞めたい、練習イヤだって言ってたじゃないか」
「龍平、待って」
去ろうとする結城君を真夜さんは止めた。
すると……。
「ちゃんと泣いてくれる、アイツとは違うんだ、お前は」
それって……。
夏の終わりの生暖かい風が、フワッと頬を撫でていく。
結城君がそう言い残して歩いていく姿を、呆然と眺めていた。
あの光景を見てから、結城君への思いが益々加速した。
彼はやっぱり水泳を辞めたくなんてなかったんだ。