きみへの想いを、エールにのせて

「速い」


さすがに最終組は速い。
もうすでに日本代表入りしている人もいるのだから、当然かもしれない。


「榎本さん」

「あっ……」


誰も知らないはずのこの会場で突然声をかけられ驚くと、結城君が私を見つけて微笑んでいた。


「隣、香川?」


隣の空席を気にする彼はそう尋ねるけれど、卓君にはインターハイに行くことすら言っていない。


「ううん。ひとり」

「それじゃ、隣いい?」

「うん」


緊張する。
こうして結城君と並んで話すのは久しぶり。


「やっぱり来てた」

「うん。結城君も」


もしかしたら来るかもしれないと思っていた。
だけど、自分が出ていない試合を見るのは辛いかもしれないとも。


「よく、わかったね」


観客席は満員に近い。
それなのに見つけてくれて、うれしかった。
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