恋は天使の寝息のあとに
おっ、来た来た。

私はテーブルの上に財布を戻すと、心菜を抱きかかえて小走りに玄関へ向かった。

「はいはーい!」

玄関を開けると、そこに立っていたのは由利亜さんと利哉くん。約束通りの時間にやってきた。
 
「沙菜ちゃん! はい、お下がり持ってきたよ」
「由利亜さんありがとうー!」

彼女の手から大きめの紙袋を受け取る。軽く中を覗くと、女の子らしい色をした冬地の衣類がたくさん詰まっていた。これからの季節、重宝しそうだ。

私は二人をどうぞと家の中へ促した。

利哉くんは玄関でママに靴を脱がせてもらうと、さすがは男の子、元気良く廊下を走り出した。
心菜も彼の後ろについて走り出す。

由利亜さんが、こらー! 人の家で走るなー! と大声で叫んだ。

「ごめんねー落ち着きない子で。うちマンションだから、広い一軒家とか長い廊下を見ると、走り出したくなっちゃうらしくて」
「ううん、全然。うちでよければ運動しに来てよ。無駄に広さだけあるから」

リビングへ向かう廊下を歩きながら、由利亜さんは心底羨ましそうに「いいわよねー戸建て。うちも探そうかしら」なんて呟いていた。


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