恋は天使の寝息のあとに
「心菜!」

急いで駆け寄って抱き起こすと、心菜はうわーーーーーっっっとけたたましい声で泣き始めた。

「ああー、ごめんね心菜、こんなところで走らせて」

私がいいこいいこして抱きしめるも、心菜の泣き声はとまらない。
心菜の服に付いた埃をはたこうとすると、ふと服に黒い模様があることに気がついた。

え……

夜闇の中、街灯の逆光ではそれが何であるかわからなかった。
よくよく見て服の模様ではないことに気づき、心菜の顔を見上げたところで言葉を失う。

泣きじゃくる心菜の鼻と上唇に大きな血の玉が膨れ上がり、歯と歯茎が赤く染まっていた。
口からよだれに混じった真っ赤な鮮血が溢れ出し、ツウッと顎を伝う。

「心菜っ……!」

頭が真っ白になった。

どうしたらいいのかわからなくなって、とりあえずバッグの中からハンカチを取り出す。
拭ったところで血は止まらず、ハンカチを染める真紅の面積だけがどんどん広がっていく。

どうしよう、どうしよう……


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