涙の雨と君の傘

少しなら食べられるって言うから、おかゆを作った。

特別料理がうまくなくても、ネットでレシピ検索してその通り作れば、それなりに出来るものだ。


ふーふーと、おかゆを冷ましながら食べる笹原を見守る。


無防備だなと思った。


学校では、ミステリアスで大人っぽくてかっこいいとモテまくってるのに、

実際は病院がきらいで猫舌な、子どもみたいな奴で。


それから気遣い屋で、

優しくて、

寂しがりで、それから……。



「名瀬はもう、来てくれないと思ってた」

「え?」


笹原は、スプーンを置いて、私を見た。


「避けられてたから」

「あ……」


そうだ。

一方的に、理由も何も言わず、私は笹原を避けていたんだった。


まさか、笹原を好きになってしまったから、なんて言えるわけもなく。

ただ、ごめんと謝ることしかできなかった。


「いいよ。……来てくれて、嬉しかった」

「笹原……」

「ありがとう」


寝癖だらけで、おでこに冷えピタを貼った、

鼻をかみすぎて、鼻の下がガサガサになった、

汗を吸ってしわしわのシャツを着た、



そんな情けない姿で、笹原が笑う。



名前のつけられない何かが、胸の奥からこみあげてきた。


それがゆっくりと涙に変わりそうになるのを感じた時、私のスマホが鳴りだした。



この曲は、アイツの指定音だ。
< 41 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop