涙の雨と君の傘
少しなら食べられるって言うから、おかゆを作った。
特別料理がうまくなくても、ネットでレシピ検索してその通り作れば、それなりに出来るものだ。
ふーふーと、おかゆを冷ましながら食べる笹原を見守る。
無防備だなと思った。
学校では、ミステリアスで大人っぽくてかっこいいとモテまくってるのに、
実際は病院がきらいで猫舌な、子どもみたいな奴で。
それから気遣い屋で、
優しくて、
寂しがりで、それから……。
「名瀬はもう、来てくれないと思ってた」
「え?」
笹原は、スプーンを置いて、私を見た。
「避けられてたから」
「あ……」
そうだ。
一方的に、理由も何も言わず、私は笹原を避けていたんだった。
まさか、笹原を好きになってしまったから、なんて言えるわけもなく。
ただ、ごめんと謝ることしかできなかった。
「いいよ。……来てくれて、嬉しかった」
「笹原……」
「ありがとう」
寝癖だらけで、おでこに冷えピタを貼った、
鼻をかみすぎて、鼻の下がガサガサになった、
汗を吸ってしわしわのシャツを着た、
そんな情けない姿で、笹原が笑う。
名前のつけられない何かが、胸の奥からこみあげてきた。
それがゆっくりと涙に変わりそうになるのを感じた時、私のスマホが鳴りだした。
この曲は、アイツの指定音だ。