涙の雨と君の傘
「おかゆのレトルト、いっぱい買ってあるから。あとポカリと、ゼリーと、ヨーグルトも」
洗濯もして干したから、部屋の乾燥はとりあえず今日は大丈夫。
のど飴も用意したし、カットフルーツもある。
あとなにがあったらいいだろう。
「明日も来るから、欲しいものがあったら連絡して」
明日も来る。
その言葉に、笹原は弱々しく笑った。
心細い、と全身が言っている。
「名瀬、ありがとう」
「たいしたことしてないよ」
「いや。いままでは、風邪引いて熱出ても、いつもひとりだったから」
そう言って、笹原は壁に飾られているフォトフレームを見る。
それは家族写真だった。
笹原と、たぶん笹原の両親。
もうこの世にはいない人たち。
「具合悪い時に看病してくれる人がいるって、本当にありがたいし、安心するんだなって思った」
ありがとう。
5文字の言葉には、笹原の心がぎゅっと詰まっているように聴こえた。
それと同時に、私はまた、この小さな部屋に、笹原をひとり残していくのかと思うと、
ずしりと足と心が重くなる。
それは大げさだけど、絶望にも似た気持ち。
笹原を置いて行きたくない。
ひとりきりにしたくない。
傍にいてあげたい。
でも、
アイツが待っている。
「……じゃあ、私行くね」
後ろ髪どころか、全身引かれる思いで玄関に向かった。
冷たいローファーに足を突っ込む。
急がなきゃ、
急いでこの部屋を出なきゃ、
何かが変わってしまう気がして焦っていた。
洗濯もして干したから、部屋の乾燥はとりあえず今日は大丈夫。
のど飴も用意したし、カットフルーツもある。
あとなにがあったらいいだろう。
「明日も来るから、欲しいものがあったら連絡して」
明日も来る。
その言葉に、笹原は弱々しく笑った。
心細い、と全身が言っている。
「名瀬、ありがとう」
「たいしたことしてないよ」
「いや。いままでは、風邪引いて熱出ても、いつもひとりだったから」
そう言って、笹原は壁に飾られているフォトフレームを見る。
それは家族写真だった。
笹原と、たぶん笹原の両親。
もうこの世にはいない人たち。
「具合悪い時に看病してくれる人がいるって、本当にありがたいし、安心するんだなって思った」
ありがとう。
5文字の言葉には、笹原の心がぎゅっと詰まっているように聴こえた。
それと同時に、私はまた、この小さな部屋に、笹原をひとり残していくのかと思うと、
ずしりと足と心が重くなる。
それは大げさだけど、絶望にも似た気持ち。
笹原を置いて行きたくない。
ひとりきりにしたくない。
傍にいてあげたい。
でも、
アイツが待っている。
「……じゃあ、私行くね」
後ろ髪どころか、全身引かれる思いで玄関に向かった。
冷たいローファーに足を突っ込む。
急がなきゃ、
急いでこの部屋を出なきゃ、
何かが変わってしまう気がして焦っていた。