As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー




「あ、悠太が千代ちゃん泣かせたー」




風間さんが、急にそんなことを言う。




「えっ!?ち、千代……?」




少し俯いているだけで泣いてはないけど




ちょっと騙してみようかな、なんて




「っ……私は、姉弟みたいだなって思ってきたけど、悠太はちがうの……?」




「そ、それは……そうじゃなくて……」




「……悠太のバカっ…!」



嘘泣き



「ご、ごめん……」




急に肩を引き寄せられ、悠太の胸にすっぽり埋まる。




「え……」



予想外。



みんな居るのに。




「悠太……?」




「ごめん、泣かせるつもりは無かったんだ。千代は僕のこと弟としてみてるのかもしれないけど、僕はそうじゃないから」




「悠太、私泣いてないよ?」




俯いていた顔を上げる。





「え、えええ!?」




「ごめんね、嘘泣きだよ」




「け、圭くん、知ってたの!?」



ぱっと腕を緩め、私を開放した。



「ぷっ。ごめんごめん、どうなるかなーと思ってさ。まさか千代ちゃんが乗るとは思わなかったけど」




「今のはなかなか良い演技だった。千代、やっぱりお前、芸能界に向いてるんじゃないか?」




須永さんはそう言うけど……




「いえ、私は芸能界に入るつもりはないので。」




「そうか。」




「はぁ……恥ずかしい」




「悠太くん、意外と大胆だね〜。俺見直しちゃったな」



日代さんが言う。




「そんなんじゃないよ!はぁ、皆がいる前であんなことしちゃった……」




「俺は気にしてねーぜ。てか、そろそろレッスン始まっても良い時間なんだけどな______」




「ごめんなさぁ〜いっ」



「噂をすれば来たな」




ちょっと変わった、オネエ口調の先生によってレッスンが始まった。



私は隅でそれを見つめるだけ。




皆キラキラしてて凄い






どれくらい時間が経ったかは定かではないが、ようやく休憩みたいだ。




「おつかれさまです。はい、タオル」




「おー、さんきゅー」



「ん……。」




「千代ちゃんありがとうね」




「千代ちゃーん、俺の汗拭いてっ?」




「圭くん、千代が穢れるからやめてくれない?」




「うわ、悠太の目チョー冷たい」




「あ、日代さんどうぞ」



「ありがと。そうだ、今度一緒にショッピングでもどう?」



「拓巳くん、サラッとお誘いするのやめてくれるかな。千代にはそういう色気は効かないからっ」




「ぶーぶー、悠太くんのケチ」




「ケチでいいよーだ。とにかく、2人きりとかそういうのは絶対ダメだから!」




「あんまり嫉妬深い男は嫌われると思うけど?」



風間さんが、グサリと悠太に突き刺さる言葉を言う。




「ぐっ……」



いまいち話の流れが掴めないけど……



「悠太は心配してくれてるんだよね、ありがとう」




「そ、そうそう!」


悠太が言い終わらないうちに、私の口は開いた。


「でも、StarRiseの皆なら全然平気だよ」




「いや、でもこの人たちいろいろと危険だし?」



「そうかな。滝沢さんも風間さんも日代さんも須永さんもいい人だと思うんだけど……」



間違ってはないよね?



「否定はできないけど……」




「てかさ、ずっと言ってきたんだけど、その名字で呼ぶの堅苦しいからやめようぜ?あと敬語もなしな」


滝沢さんが、唐突に話を変えた。



「そうだな。知り合ってもう2年目だ。幾ら年上だとはいえ、1つ2つしか違わないし、そんな目上に扱う必要はないと俺は思う。」



「うんうん、俺も『圭くん♡』って呼ばれたいわ」



「圭くんの事は呼び捨てでいいと思うのは俺だけかな。ちなみに、俺は『拓巳』って呼ばれたいんだけど」




「俺は『隼人』かな」



「なら俺も『流』で」




「えっと、『拓巳くん』に『隼人くん』に『流くん』にあと、『圭さん』で」





「ええ!?なんで俺だけさん付け!?」




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