As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
「ただいまー」
「お邪魔しまーす」
帰り道、少し寄り道をしながらも、変える頃には3時。
お昼はさっき、レッスンの合間に食べた。
ちゃっかり私もお弁当を頂いてしまった。
「ソファでくつろいでて。着替えてくる」
「ん」
カジュアルな短パンと、七分袖のシャツ。
これならいざと言う時外に出ても大丈夫
「お待たせ」
「ねぇ、『蘇芳碧斗』って誰?」
「え……?」
一瞬、何のことかと思ったけど、テーブルの上に無造作に置かれた『あの』手紙を手にしている悠太を見て顔が青ざめる。
「それは……」
「ごめん、読むつもりはなかったんだけど、気になって」
「ううん、いいの。どうせ話そうと思ってたから」
「お見合い…するの?」
「うん」
嘘隔てなく、全てを話した。
「ははっ、そう………だよね。千代は社長の娘だから……そういうことがあってもおかしくない……」
悠太の表情がどんどん暗くなる。
「………」
「千代は嫌じゃないの?」
「……正直、嫌だよ。でも、会ってみて、もしかしたらその人のこと好きになるかもしれない。そうなれば嫌とは思えなくなるのかも。」
「そんなの、分かんないじゃん」
「うん、分かんない。でもこれは決まったことだから、仕方ないのかなって。いつかはこうなる運命なんだよ。それが早くに来たってだけの話」
こんな事言ってるのは、ただ単に自分に言い聞かせてるだけ。
暗示だ。
「そんなの……僕が嫌だ」
「どうして?」
「っ……」
悠太はそれ以上その事について口を開かなかった。
代わりに
「ちょっとテラスに行ってくる」
そう告げて、室内テラスへと姿を消した。