As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
我ながらいい買い物をしたな、と思いながら、帰路に着いた。
すると、偶然にも前方には隼人くん。
「おーい、隼人くーん」
走って、その背中を追いかける。
「ん?あぁ、千代か。ビックリした。こんな所で何してんだ?」
「誕生日プレゼント選びを……」
「あー、なるほどな」
「隼人くんこそ、ここで何してるの?」
「俺は、これから帰るとこ」
「そっか」
「てか、今更ながらお前が俺のことを君付けで呼ぶの、ちょっと恥ずかしいかもな」
「そう……かな?」
「そうそう。初めて会ってから一年以上経つのに、この間までさん付けだの敬語使うだので壁があった感じだけどさ、それをちょっと変えるだけでこんなにも距離が近く感じるって言うかさ……結構嬉しいわ。って、何言ってるんだろうな、俺」
「………私も嬉しい。皆と距離が近づけて。一緒にいると自然と笑顔になれて、元気になれる。だから、これからはより一層仲良くなれるよう、よろしくお願いします」
みんなの笑う笑顔、キラキラと輝く姿、その光景が鮮明に浮かび上がる。
「っ……おう!」
「あ、じゃあ私はこっちだから……」
「じゃあ、また学校でな!」
電車に乗り、一駅の自宅最寄り駅に着くと駅前に人が群がっていた。
誰か有名人でも居るのかな……
そんなことを思いつつ、横を素通りしようとした。
しかし
「あ、千代ちゃん!」
「え?」
今、呼ばれたような……気の所為?
「千代ちゃんってばー、もう、無視しないで?」
その声の先には、拓巳くんがいた。
なんの変装もしていない。
「拓巳……くん?」
「千代ちゃんのこと待ってたんだ」
「えと……」
「ねぇ、その子誰?」
「まさか彼女!?」
拓巳くんに群がる女の子たちの口から、次々と同じような言葉が出た。
「あの、違うんです。たまたま、学校が同じで顔見知りなだけです。………ね、『日代先輩』」
「いつもは『日代先輩』なんて呼び方じゃなくて、た__________ってちょ!」
「あ、あそこにStarRiseの風間圭がいる!」
そう言って指を指すと、女の子たちは一斉に後ろを振り向いた。
これ以上喋らせたら大変なことになりそうで、拓巳くんの手を掴むと、女の子がいるはずもない圭くんを探している間に素早く逃げた。
「……はぁ、はぁ。もう、あんまり余計なことは言わないで!」
一走りし、息を切らせながら言う私に対して、拓巳くんは満面の笑みだ。
「えー、事実を言おうとしただけなんだけどなあ」
「それがダメなんです!私の立場考えてください!」
「ごめんね?怒ってる?」
「怒ってます!」
「……というか、ここって千代ちゃん家だよね。お邪魔してもいい?」
突然話を逸らされて、あっけらかんになる私。
「え?」
今、私達は私の家のマンションのエントランスにいる訳だが………
「お腹空いちゃった」
引き下がってはくれなさそう。
「……何、食べたい?」