As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
「ねぇ、どこに行くの?」
まだ夜は冷える。
椅子に掛けてあった上着を持ってきたお陰で、寒さはあまり感じない。
「どこだと思う?そろそろ分かると思うけど」
この道は……悠太の家への道だ。
案の定、着いたのは葉山家。
外のライトだけが付いていて、中は真っ暗だ。
悠太が手際良く鍵を開けると、そのままお邪魔することに。
そういえば、パーティーのあと2人で……なんて言ってたっけ
「こっち」
通されたのは悠太の部屋。
明かりはつけず、月明かりだけが部屋を照らす。
少し薄暗い。
大きな窓から見える夜空はいつ見ても綺麗だ。
小さい頃、よく2人で天体望遠鏡を覗いていた。
その頃の望遠鏡は、未だ悠太の部屋の片隅に置かれている。
「やっと2人になれた」
「そうだね」
良かった、上着のポケットにプレゼント入れておいて
「悠太、誕生日おめでとう」
ラッピングされた小さな紙袋を悠太に渡した。
喜んでくれるかな
少しそわそわしながら、悠太の反応を待った。
「また、先越されちゃった。いつも千代から渡してくるよね」
「うん」
そういいながら、ゆっくりと袋を開け、ストラップを手にした。
「………綺麗。ありがとう、千代」
はっと顔を上げると、悠太の笑顔が一面に見えた。
それを見て、私まで嬉しくなる。
「へへ。あ、それね?私とお揃いなんだよ。色は違うけど……ほら」
私も、スマホに付けたストラップをポケットから取り出し、悠太のと並べた。
月明かりが青と赤のガラスに差し込み、いつも以上にキラキラと輝く。
並んだ二つをみながら、悠太がそっと呟いた。
「僕達も……こうなれたらいいのに」
「『悠太達』なら大丈夫だよ。ライブ、応援しに行くからね」
「ははっ……やっぱり千代は分かってないや」
「?」
解釈のズレだ。
けど、私には良くわからなかった。
「ねぇ、千代、後ろ向いて」
「うん?」
そっと悠太に背を向けると、髪を払われ、首があらわになる。
冷たい感触とともに、何かが付けられた感触。
振り向くと、優しく微笑んだ悠太。
「千代、誕生日おめでとう」
誕生日プレゼント、それはネックレスだ。
確かにあるその感触を首元に感じ、指先で触った。
鏡がないから見れはしない。
けど、貰えたというだけで嬉しさで涙が込み上げそうだ。
「うれ……しい」
去年とは違う想い。
何か違う。
その違いを理解することをまだ出来ないけれど。