As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
「千代、目に涙溜まってる。そんなに嬉しい?」
「……うんっ」
「そっか……僕も嬉しい。今日は最高の誕生日だね。………………あのさ」
「うん……」
「僕、千代のこと………って、うわっ。ち、千代?」
トンと千代が悠太の胸に倒れる。
「………」
「ね、寝てる……?」
静かに悠太の胸で静かに眠る千代。
「千代ったら……。僕、今重要なこと言おうとしたのにな」
「………」
「同じ日に生まれて、出会って、こうしていられるなんて、きっと偶然なんかじゃなくて、必然なんだよ。僕が千代を好きなことだってさ。……………………ねぇ、好きだよ」
届かない声、それは悠太も分かっていること。
「ばーん!!千代ちゃんを拐った怪盗悠太!逮捕だー!」
「へっ!?」
暗がりの中、突然開けられた部屋の扉、大きな声に、悠太が飛び跳ねる。
「だ、誰?」
すると、パチンと部屋の電気がつけられ、声の主の顔がはっきりと見えた。
「全く、抜け駆けととか良くないぜ!」
「け、圭くん!?……な、なんで俺達がここにいるって分かったわけ?てか、不法侵入」
「拓巳が教えてくれた。多分悠太の家だろうってさ。で、何してたんだよー」
「拓巳くんめ。……はぁ、別に何でもいいでしょ」
「そうかよー。てか、千代ちゃん寝てるの?」
「うん」
「そ」
「起こすのも可哀想だし、今日はうちに寝かすよ」
「くれぐれも手、出すなよ?」
「はいはい、僕は圭くんじゃないから平気ですよーだ」
「ぐっ、何も言い返せねー」
「ほら、千代の安否が確認出来たらなもう帰りなよ。僕達はもう戻らないからさ」
「へいへい」
ヒラヒラと手を振り、そそくさと部屋を出ていった。
突然来て突然去る圭に、危機感を覚える悠太。
それと同時に、嵐のような男だとも思った。
「はぁ……なんかどっと疲れた」
そんなことも知らずに呑気に悠太の胸の中ですーすーと寝息を立てる千代。
「早いけど、このまま寝ちゃおうかな。でも、どこで寝よう……」
起こさないようにそっと千代を自分のベッドに寝かせると、一人悩んだ。
「布団……あったかな」
お客さん用の敷布団があった気がするけど、誇りが酷そうで出せそうにない。
考えた末
「お邪魔しまーす……」
千代が眠る自分のベットに、そっと入って、添い寝するかたちで寝たのだった。
あぁ、朝千代より早く起きなきゃ、いろいろとまずいな……なんて思いながら。