As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
「ぐぬぬ……」
「いやあ、参ったね。俺 達のことが随分と噂になってるみたいで」
「これだから嫌だったんだよ!」
お昼休みになり、旧校舎の図書室で集まっていた。
「いつの間にあんなことあったんだよ……拓巳、お前がダサ男演じてて助かったな。正体明かしてたら、今頃どうなってたか……」
「本当だよね〜」
拓巳は、まんざらでもない様子だ。
「なんだか、私怖いよ」
世の中の人々に顔を知られてしまった。
何かあるんじゃないか不安で仕方ない。
「そのときは、僕が守るからね!」
「ありがとう」
「結構いろんな噂になってるよね。『誰!?初めて見る顔。もしかして新人?』『この子、撮影とはいえ拓巳様と距離近くない?彼女!?』とかさ」
あぁ、私もそういうの廊下で聞いた。
みんな、私が廊下を通るとコソコソと話していた。
『ねぇ、あの子じゃない?』
『あ、本当だ。うちの学校の子だったんだ……もしかしてモデル?有名になるかな。なるなら今のうちにサインでも貰っとかない?』
『うわ、意外と可愛いかも。俺狙っちゃおっかなー』
『やめとけよ、もしかしたら拓巳ってアイドルの彼女かもしんないじゃん』
とかとか……
「この雑誌一つで、他の出版社からもオファーが来るかもしれないね。そのときはどうする?」
「勿論、断る。だって、これは仕方なくやっただけで、私は芸能界なんて……」
「そっか。いろいろ事情があるんだね。俺は無理に強要はしないけど、千代ちゃんと一緒に仕事がしてみたいとは思うよ。多分、流くんなんかも推してるんじゃない?」
確かに、流くんにも一度勧められた覚えがある。
勿論、断ったけど
「僕は反対かも……千代が皆に知られるのやだし。今回ので改めて実感したというか……」
「はい、でたー、悠太の独占欲ー」
隼人くんが棒読みでそういった。
「とにかく、私はもう芸能界なんて嫌だからね!」
ママみたいにはなりたくないもん
ママが苦労したのを知ってるから
芸能界の怖さも知ってる