As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
セット外の、カメラなどがある隅で、パイプ椅子に座ってじっとしている。
本番に近くなると、次々にタレントさん達が現場入りし始めた。
私に気づく人もいれば、気づかない人もいる。
StarRiseの皆も、現場入りする。
こそっと悠太だけ私のところへ来るとこういった。
「僕の事、ちゃんと見てて」
そう言い、ポンと頭を撫でると直ぐに皆の元へと戻って行った。
スタッフさんの「本番五秒前~」という合図が入ると、一気に現場の緊張感は高まった。
本番が始まり、MCの軽快な声と効果音が響いた。
さまざまなコーナーが進行され、その途中途中で、出演者へ質問が振られたりと、順調に番組は進んだ。
悠太たちも、大分コメントが上手くなっていた。
デビュー当時なんて、緊張でカミカミだったり、全くテレビのコメントとして成り立たなかったものだ。
「ではここで、この番組内の誰かの幼少期の写真をご用意しました!」
効果音と共に、モニターに映し出された小さな男の子______と、その横に軽くモザイクのかかった女の子。
推定、1歳だ。
でも、あの顔悠太に似てる……
「さあ、これは誰の写真でしょう!?」
「……僕です」
「おおっ、これはStarRiseの葉山くんの1歳の頃の写真!隣に移っている子は誰なんでしょう」
「隣に移っているのは、今でも仲の良い幼馴染みの女の子なんです。実は、その子と初めて会った日の写真で、そのあと3歳の頃に再開して、それからはずっと一緒なんですよ」
え、ええ!?
再開……?
てことは、私と悠太が初めて会ったのは、3歳の頃じゃなくて1歳の頃!?
初耳だ。
後で悠太に問いただしてみよう。
そして、番組もあっという間に終わった。
「おつかれさまです」
皆がそう言い合い、無事番組の収録は終わった。
そっと楽屋にお邪魔することにした。
コンコンコンと3回ノックをし、返事を待った。
「はーい、どうぞ」
隼人くんの声だ。
「失礼します……」
「お、千代か」
「千代ちゃん来てたんだ!?ビックリしたー。はっ、俺変じゃなかった!?」
「お前は黙ってろ」
「ふがっ」
「千代、ちゃんと見ててくれた?」
「うん、ちゃんと見てたよ。それで、あの写真の話なんだけど______」
「千代、少しいいか?」
悠太のあの写真についてきこうとするも、流くんによって遮られてしまった。
「へ?いいです……よ?」
つい敬語になってしまった。
「ここじゃ、話しにくい。外に出よう」