As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
それからの日々、私は多忙だった。
「千代。今日、千代の家に行ってもいい?」
「ごめんね、しばらくはちょっと……」
あれから3日が経って、私は流くんに連絡し、こう伝えた。
『私、やります』
そう一言。
その後、監督にも認めてもらうことができ、私は正式に抜擢された。
そして、今日の放課後は、予定がある。
今日だけじゃない、これからしばらくはずっと放課後は予定が入っている。
だから、悠太の頼みも、仕方なく断ることに。
「そ、そっか……じゃあ今日は帰ってゲームでもしようかな」
しょんぼりと、今にも見えそうな尻尾と耳を垂らしながら帰っていった。
一方私は、とある場所に来ていた。
「日比谷千代です。よろしくお願いします」
「はい、お願いしますね」
ここは、個別レッスンの教室。
何のレッスンかって?
それは___
「まずは、よく声が通るように発声練習をしましょうか」
演技のためのレッスンだ。
ママにお願いして、受けさせてもらっている。
レッスンは、一人の専属の先生が、色々なことを教えてくれる。
その専属の先生は、昔、ママのレッスンを担当していた人らしく、連絡をしたら引き受けてくれたらしい。
およそ2時間のレッスンが毎日入ってる。
大変だけど、決めたことだ。
期間は短い。
その分、短期集中でちゃんとやらなきゃ
そんな日々が続いて、もうすぐで1ヶ月が経とうとしていた。
いよいよ、ドラマ撮影の日がやってきた。
凄く緊張する。
物語は、「夏のお天気雨」から始まる。
CM含む、一時間ドラマ。
その冒頭は、雨のシーンから始まる。
プロローグ的なものらしい。
撮影当日、人工の雨を降らせ、撮影が始まった。
いつも着ている制服とは別のものを身にまとう。
少しの蒸し暑さと、体に降り注ぐ雨、スタッフさんたちの真剣な眼差しが、私のスイッチを切り替えさせた。
「よーい………スタート!!」