エリート上司に翻弄されてます!
「深桜ちゃん」
「え、」
と、その手は電気のスイッチに届くことはなく、乾先輩の大きな手に掴まれた。
真っ暗な視界で目の前の乾先輩の表情がよく見えない。
けど、
「(怒ってる?)」
いつもの乾先輩の雰囲気ではないことは直ぐに分かった。
空気が尖っている。そこにいるのは乾先輩だよね。
彼はもう1度「深桜ちゃん」と私の名前を呼んだ。
「今何時?」
「……え?今、ですか?1時……45分です」
慌てて腕時計の時間を確認すると掴まれていた手をぐいっと前に引かれた。
まだ靴を脱いでいたなかった私はバランスを崩して彼の体にぶつかる。
と、
「こんな時間まで、連絡も無しにどこにいたの」
「……」
「言ってたよね、帰りが遅い時は連絡してって。心配するでしょ」
そんなこと?そんなことで怒っていたの?
でも飲み会だからこの時間になるってことぐらい分かっていたはずだ。
やはり様子が変だと私は顔を上げる。