エリート上司に翻弄されてます!
と、
「っ……」
視界が慣れてきたのか、目の前にある乾先輩の表情が分かった。
彼は怒っているのではなく、何やら悲しそうな顔をしていたのだ。
何がそんなに彼を苦しめているのか分からない。
それに少しだけまだアルコールの匂いが残ってる。
「でも、一緒に帰ったら同居のことバレちゃいますよ。水川先輩とか、いたし」
「……そうだけど」
「連絡しなかったことは謝ります。でも先輩寝てるって思ってたし。これからはちゃんとするので」
「……」
その言葉に彼は更に思い詰めた表情になる。
そんな顔が見ていられなかった私は視線を下げて、「本当にごめんなさい」と謝った。
まさかこんなに心配していてくれてるとは思わなかった。
この時間にまで起きていたのは私のことを待っていてくれたから。
それは分かるけど、だったら何で連絡をしてくれなかったんだろう。
電話してくれたらちゃんと出たのに。
まだ強く握られている手首。
「先輩、リビングに戻りましょう」
「……」
「……先輩?」
そう声を掛けた瞬間、体が前に引き寄せられた。